意匠性や耐震・省エネルギー性能を高めて
新たな価値をつくる
長年暮らした愛着のある家や、古くて良い建物・店舗・マンションなどを、
自分たちのライフスタイル・ライフステージに合った心地よい空間へと生まれ変わらせる「リノベーション」。
住まいづくりの目的は、「家を手に入れる」ことではなく、「自分らしく心ゆたかに暮らす」こと。
思い描く暮らしを実現するために、「家」は、新築でも中古でも、賃貸でも、すべての選択肢にそれぞれの魅力と可能性があります。
老朽化した設備や室内を補修したり、良い部分を残しながら意匠性や耐震・省エネルギー性能を高めたりなど、
「直して使う」・「価値あるものを活かす」というリノベーションは、
コスト・環境への負担を少なく、暮らす場所やライフスタイルなどの自由な生き方にフィットする、価値ある選択肢のひとつです。
リフォームとは、中古住宅の老朽化した設備や室内を補修すること。
設備(キッチンや浴室、トイレ、洗面台など)や表層の仕上げ材(フローリング、壁紙など)を新しいものに更新し、新築時の状態まで回復させます。
リノベーションとは、中古住宅の良い部分を残しながら、住まう人の価値観を反映し、新しい空間に生まれ変わらせること。
マイナスを元の状態に戻すだけでなく、意匠性や耐震・省エネルギー性能を高め、快適に、心ゆたかに暮らすための住まいに変えていきます。
生き方やライフスタイルが多様化している時代。
ライフステージに合わせて住む場所を選びたい人や、家族構成や暮らし方が変わるたびに賃貸物件を住み替えていきたい人など、住まいに対する価値観もさまざまです。
家を貸したり借りたり、売却して新しい家へ住み替えたりと、住まいはもっと流動的になっていくと想像しています。
ご家族が思い描く「自分たちが望む暮らし方」によって、新築で家を建てるよりも、中古住宅をリフォーム・リノベーションする方が適している場合もあります。
私たちは、「家」そのものだけに焦点をあてるのではなく、どんな場所でどんな暮らしをしていきたいのか、そんな想いにも寄り添って、住まいづくりを考えていきたいと思っています。
中古住宅では「家の中が細かく仕切られ、廊下で分かれている」という、昔ながらの間取りが多くありますが、
その場合、各部屋の用途が決まってしまっているので、暮らし方の変化に対応しにくく、廊下は寒くて、各部屋に冷暖房が必要で…と、
現代の暮らしには合わないことが多いです。
えん建築舎では、「永く住み続けられる」、将来の変化にも柔軟に対応する住まいをご提案しています。
必要以上に壁で仕切るのではなく、1つの大きな空間をつくり、開放的で心地よく、人と人の気配が自然と感じられるような住まいです。
なるべく個室をつくらないこと、間仕切り壁を増減しやすい造りにしておくなど、家族構成やライフスタイルなど、将来における暮らし方の変化に柔軟に対応できるような間取りを心がけています。
耐震性、耐久性、省エネルギー性など、建物そのもののの性能を向上させることは、リノベーションの大切な役割のひとつです。
木造住宅の寿命は諸説ありますが、小松幸夫教授(早稲田大学理工学部)の報告によると、平均寿命は65年*とされています。建物の物理的な耐久性は、日常のメンテナンスによって“いくらでも延伸できる”とも表現されています。
*この報告は2011年のものであるため、最新の研究ではさらに伸びているかもしれません。
国土交通省の木造住宅期待耐用年数においても、適切なリフォームやメンテナンスを前提とすれば、木造住宅は100年以上もつことが期待されています。
壁の少ない建物に適切な壁量を設ける、適切な防水処理を行う、高断熱サッシや断熱材などを採用することにより、安全・快適な住まいへと性能を高めていきます。
中古リノベーションの
魅力と注意点
中古住宅をリノベーションをすると、条件次第では、新築よりも費用を抑えられます。 同じ予算であれば、建物の性能やデザイン性を向上させながら、新築よりも立地や住環境などが好条件になることもあります。
新築住宅を建てる場合は、土地から購入される方が多く、各エリアでおおよその相場が決まり、どんな土地があるかはタイミング次第、選択肢も限られています。
中古住宅の購入を視野に入れれば、多数の選択肢から選び出すことが可能になります。
景観や利便性、そのエリアにはどんなお店や学校があって、どんな人が暮らしているか。これは、家そのものと同じくらい重要な暮らしの要素です。
「リノベーション」を選択する方には、「あえて住まいに余白をつくり、暮らしながら整えていく」楽しみを感じられる方が多いように思います。 最初からプロの手でつくりこんでしまうのではなく、棚ひとつとっても「自分がここ!」と思う場所に取り付けていく。 価格も抑えられて、より自分たちの暮らしにフィットする。中古リノベーションという選択は、そんな価値観との親和性を感じます。
中古リノベーションには、その家に刻まれてきた「時」、目には見えない大切なものをつないでいくという価値があります。 持ち家をリノベーションする場合には尚更。思い出をつなぎながら、新築住宅同等の性能に向上させることで、次世代へ引き継ぐことのできる住まいへアップグレードしていきます。
「経年は劣化ではなく魅力」と感じられる方が増えています。それは「経年変化しづらい新建材」では感じられないこと。 中古住宅の良い部分を残しながら、本物の素材を使ってリノベーションする。次の世代にも、時を経た味わいを感じられるように。 経年により飴色に変わった木材や、珍しいデザインの建具・欄間など、中古物件だからこその宝物がある場合もあります。
木材だけ考えても、植樹して伐採できるまでに約50年の時間がかかるといわれていて、その時間よりも長い期間使わない限り、必然的に資源は枯渇していってしまいます。 中古物件のリノベーションは、限りある資源を有効活用できるとともに、解体等廃棄物の総量削減により二酸化炭素の排出削減にもつながります。
建物には構造上必要な壁や柱があり、新築に比べると、間取りの自由度は下がります。 また、物件を購入し、いざ壁を抜いたら、図面にはなかった「構造耐力上外せない壁や柱」が出てくる場合もあり、想定していた間取りから調整が必要になることも。
建物や屋根の骨組みを大きく変えるには、大規模な工事が必要となり、魅力のひとつであったはずの「価格を抑えられる」ことが難しくなる場合があります。 「家そのものを活かしながら理想の暮らしをどう実現するか」という工夫と、そもそもの物件選びが重要になってきます。
中古住宅の場合、表面的には問題がないように見えても、実際に壁や床を解体すると、想定外の損傷や不具合が見つかることがあります。 リノベーション後に追加で補修工事が必要となる場合もあります。